国際不動産評価情報 |
日本の「不動産鑑定評価基準」と「国際評価基準」について |
| I.はじめに わが国の「不動産鑑定評価基準」は、1963年施行の「不動産の鑑定評価に関する法律」を受けて始まり、その後の経緯については後記のとおりである。 一方「国際評価基準」は、1970年代に生じた急激な経済情勢の変動、急速に進む投資市場のグローバル化に伴い、イギリスならびにアメリカ合衆国の関連団体が中心となって1981年に結成された国際資産評価基準委員会(TIAVSC)が検討し、公表してきたもので、その後1994年に同委員会は国際評価基準委員会(IVSC)と改称し、今日に至っている。 II.日本の「不動産鑑定評価基準」について 「不動産鑑定評価基準」の制定・改訂には鑑定評価実務に精通した専門家も参画し、日本の実情に加え海外の理論も十分反映しているので、国際的にも遜色のない水準にあると言える。 1.基準設定の経緯
・今後の予定 「海外投資不動産鑑定評価ガイドライン」(http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/03/030125_2_.html)は、実施済であるが、2010年1月より、鑑定評価制度の見直しに関する体系整理のため以下のガイドラインが施行される。
(1)「不動産鑑定評価基準」の一部改正(鑑定士の責任の強化を目的)
(2)「不動産鑑定士が不動産に関する価格等調査を行う場合の業務の目的と範囲等の確定及び成果報告書の記載事項に関するガイドライン」 (3)「財務諸表のための価格調査に関する基本的考え方」 (4)「証券化対象不動産の継続評価の実施に関する基本的考え方」 Ⅲ.日本の鑑定評価制度の特色
(1) 根拠法規として「不動産の鑑定評価に関する法律」が基本である。
(2) 基準の策定主体 国土交通省 (3) 基準の目的
不動産の鑑定評価に関する法律は、不動産の鑑定評価に関して、不動産鑑定士及び不動産鑑定業について国家資格等の事項を定めることによって、土地等の適正な価格の形成に資することを目的とする。
(4) 鑑定評価の対象となる権利・利益
鑑定評価の対象は、不動産に対する所有権、賃借権等の権利又は経済的利益である。「不動産」とは、「土地」と「その定着物」である。
(5) 鑑定評価基準の構成第1部 総論
第1章 不動産の鑑定評価に関する基本的考察
第2部 各論第2章 不動産の種別及び類型 第3章 不動産の価格を形成する要因 第4章 不動産の価格に関する諸原則 第5章 鑑定評価の基本的事項 第6章 地域分析及び個別分析 第7章 鑑定評価の方針 第8章 鑑定評価の手順 第9章 鑑定評価報告書
第1章 価格に関する鑑定評価
*ここでいう鑑定評価基準には、基準として公表された文書のほか、ガイドライン、所轄官庁による留意事項、さらには不動産鑑定協会から会員宛通知された評価方法に関する連絡事項、注意事項を含めており、基準本文を中心とする広義の体系を意味すると理解していただきたい。
第2章 賃料に関する鑑定評価 第3章 証券化対象不動産に関する鑑定評価 Ⅳ.「国際評価基準」について (http://www.ivsc.org/)
(1) 国際評価基準の経緯と現状
国際評価基準は、どこの国であっても共通に理解され、信頼され、適用されるべき鑑定評価基準であり、その役割は、細目を偏重せず基本ルールを定めて実務的な運用を行うべしとする原則主義に立っている。 特に近年、国際会計基準審議会(IASB)が、同じく原則主義に立って、取得原価ではなく、公正価値に基づく財務報告を内容とする国際財務報告基準(IFRS 通称「国際会計基準」)の採択に向けて動きを加速させていて(120カ国以上が採択)、IFRS及びそれに基づく実務基準による数値計上の基準として、IVSの役割が大きくなっている。 各国の鑑定評価基準も、IVSをそのまま採用したり、IVSと収斂させたり、又は何らかの形でIVSを取り込んで、グローバル化に対応する方向に進んでいる。 (2)国際評価基準の構成
Introduction
GlossaryConcepts Fundamental to Generally Accepted Valuation Principles (GAVP) Code of Conduct Property Types
International Valuation Standards
International Valuation ApplicationsIntroduction to International Valuation Standards IVS1 Market Value Basis of Valuation IVS2 Bases Other Than Market Value IVS3 Valuation Reporting
IVA1 Valuation for Financial Reporting
Guidance NotesAddendum A: Further Guidance on Lease Accounting IVA2 Valuation for Secured Lending Purposes IVA3 Valuation of Public Sector Assets for Financial Reporting
GN1 Real Property Valuation
GN2 Valuation Lease Interests GN3 Valuation of Plant and Equipment GN4 Valuation of Intangible Assets GN5 Valuation of Personal Property GN6 Business Valuation GN7 Consideration of Hazardous and Toxic Substances in Valuation GN8 The Cost Approach for Financial Reporting (DRC) Addendum A: Profitability Test When Reporting DRC GN9 Discounted Cash Flow (DCF) Analysis for Market Valuations and Investment Analyses GN10 Valuation of Agricultural Properties GN11 Reviewing Valuations GN12 Valuation of Trade Related Property GN13 Mass Appraisal for Property Taxation GN14 Valuation of Properties in the Extractive Industries GN15 Valuation of Historic Property Index Ⅴ.(社)日本不動産鑑定協会のIVSへの取り組み
(1) 国際評価基準は、各国の制度や慣習を捨象した共通事項ないしは最大公約数的なものであり、各国それぞれの評価の歴史、不動産その他に関する法制、社会の状況といったものにより自ら異なるローカルな(評価に関する)規則、評価基準とは次元を異にする。
(2) 従って日本の「鑑定評価基準」は、IVSと必ずしも一致する必要は無い。 (3) わが国の評価基準は、現行では不動産鑑定評価基準であり、不動産だけでなく動産、無体財産権等も対象とするIVSとの関連は限定的とならざるを得ない。 (4) しかしながら、こと不動産評価に関する限り、日本の基準とIVSとは、当然のことながら、その基本的概念や評価手法などにおいて、大きく相違してはいない。 (5) なお、IVSで取り上げている動産・企業・金融商品のうち、金融商品の一部である証券化商品については、既にわが国の不動産鑑定評価基準に取り入れられている。また、企業についても証券化商品との関連で、さらに動産についても建物・構築物との関連で、ある程度の接点を持たざるを得ないので、今後規定の整備が必要となると思われる。 (6) (社)日本不動産鑑定協会国際委員会においては、1979年の名称TIAVSCの当時からIVSの研究と検討を重ねてきた。 (7) (社)日本不動産鑑定協会国際委員会においては、我が国の鑑定評価基準と国際評価基準との相違点を検討し、2010年に公表する予定である。 |
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